千葉地方裁判所 昭和61年(わ)210号 判決 1986年6月30日
本籍
千葉県船橋市豊富町六八六番地
住居
右同所
農業
矢啓郎
昭和一八年七月七日生
本籍
岡山県岡山市岩井二丁目九番
住居
同市岩井二丁目九番二五号
団体職員
元川渡
昭和八年六月一二日生
各所得税法違反被告事件
検察官
成川毅 出席
主文
被告人矢啓郎を懲役一〇月及び罰金一七〇〇万円に、被告人元川渡を懲役一年に処する。
被告人矢啓郎においてその罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から被告人矢啓郎に対し三年間右懲役刑の、被告人元川渡に対し四年間右刑の、各執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人両名は、牧清生らと共謀のうえ、千葉県船橋市豊富町六八六番地に居住をして農業を営む被告人矢啓郎の昭和五九年分の所得税を免れようと企て、架空の資産譲渡費用を計上するなどの方法により、所得を隠匿したうえ、同年分の同人の実際所得金額が二三三一万五九五三円、分離課税による長期譲渡所得金額が二億七〇万四〇〇〇円であったにもかかわらず、昭和六〇年三月一四日、同市本町二丁目二七番二五号所在の所轄船橋税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一九七三万七一五五円、分離課税による長期譲渡所得金額が五〇三七万二七〇〇円で、これらに対する所得税額が一六九八万二六〇〇円である旨の偽りの所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五九年分の正規の所得税額六八四七万三六〇〇円と右申告税額との差額五一四九万一〇〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人両名の当公判廷における各供述
一 被告人両名の検察官に対する各供述調書
一 工藤義昭、深山泰嗣、飯島輝雄、川尻誠一、大野末一(八通)の検察官に対する各供述調書謄本
一 登記簿謄本三通
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書、脱税額計算書説明資料、利子収入調査書、雑費調査書、測量費調査書、収入印紙調査書
一 給付補てん備金調査書、検査てん末書(六通)
一 押収してある昭和五九年度分の所得税の確定申告書等一綴(昭和六一年押第六七号の1)、同五九年分譲渡所得事績書等一綴(同号の2)、領収証一枚(同号の3)、土地売買契約証書一綴(同号の4)
(法令の適用)
一 判示所為 刑法六〇条、所得税法二三八条
一 労役場留置 刑法一八条(被告人矢について)
一 執行猶予 刑法二五条一項(被告人矢については懲役刑についてのみ)
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 沼里豊滋)